holiday ソリ雷




 朝と呼ぶには少し遅く。
 昼と呼ぶには大分早い。



 俺はぼんやりとテレビを眺めながら、彼の起床を待っていた。
 いつもなら完璧に寝坊な時刻だが、今日は休日。
 少しばかり多く惰眠を貪った所で、責める奴は居ないだろう。


 くるくると踊るように変わる画面から目を離し、俺は昼飯の事を考える。
 俺もそう早い時間に起きた訳ではないので、朝は食べていない。
 このまま彼が起きなかったら昼も抜きだ。
 随分ひもじい休日だなと呟いて、口元を緩めた。



「何笑ってるんだ」



 振り向かなくても声の主は解りきっていたが。
 一応俺は振り向いて、にっこりと笑いかけた。

 まだ開ききっていない目をこすりながら、ふらふらと俺の隣に腰掛ける。
 寝癖のついた頭をがしがしと掻いて、彼はあくびを噛み殺した。


「少し寝すぎた」
「休みだし、別に良いんじゃないか?」
「お前は何時に起きたんだ?」
「一時間くらい前だ」
「その一時間が、惜しい」


 なんだそりゃと俺は笑って、言葉通りの意味だと彼は言う。
 ぽん、と俺の頭に手を乗せて、そのまま引き寄せた。


 そういえば『おはよう』を言っていない。
 代わりのキスだと解釈し、目を閉じる。
 一瞬の柔らかさの後、眩しさを感じた。

 届かない様に、囁く。


「幸せすぎる、な」


 彼は訝しげに俺の顔を覗き込む。
 誤魔化すのに一番有効な手段は笑う事だ。
 勿論、違う話題を振るのも忘れてはいけない。


「……今日の昼飯、久しぶりに食べに出ないか?」
「それは構わんが、何食うんだ?」
「美味いパスタを出す店があるんだ」
「パスタか……。そういえば最近食ってないな」


 話題は逸れたし、昼飯にもありつけそうだ。
 一石二鳥、といきたい所だが……。


「……そろそろ離してくれないと、ランチタイムに間に合わないんだが」
「そうか」
「『そうか』じゃなくて」
「まぁ待て待て」



 彼は俺を押し止め、にっこりと笑った。



――誤魔化す様に。



「俺が腹一杯になってからでも、遅くは無いだろ?」




――――

ほのぼのあまあま。
あまあまあまあまの様な気もする。

ジャンル分け難しい。
結構曖昧だもの。

080624


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