dinner スネスネ



『デートに行かないか?』

 そう言われて、とりあえず頷いたは良いが。



「デートって、何をするんだ?」
「いちゃいちゃ」
「今しているだろう」
「……あっさり言うなよ」


 彼はふうと難儀そうにため息を吐き、ソファに深く腰掛けた。


「買い物したり映画みたりが定石だな」
「同じ事をして体験を共有する?」
「元々好意を寄せている同士だ。余程の事が無い限り親密度は上がる」


 所詮デートは手段に過ぎない。
 それは目的ではなく過程だ。
 感情を伝えるためのお膳立て。

 先にあるのは好意。
 愛。恋。
 『好きだ』という三文字を伝える為の。


「遠回りな行為だ」
「人間は字面をそのまま信じられない」
「お前も過程が欲しいのか?」
「さぁね。俺はただ……」


 彼はひょいと肩を竦めて、口の端を上げてみせた。


「たまには外で夕飯でもどうかと思っただけだ」


 言葉につられて時計を見れば、夕飯を作り始めるのにはいささか遅い時間帯。
 俺は頷いて、ふと浮かんだ疑問を口にした。



「これは、デートか?」
「食事の最後にプロポーズ出来るくらいには、デートだ」




――――

『ディナーを共に、ただしファミレスで』みたいなっ!

080421


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