New Year 5 ダルスネ



 荷物も無くなった帰り道には、ちらちらと白が舞い始めていた。

 冷えた指先をポケットにねじ込めば、横から伸びてきた腕に捕まれ引き摺りだされる。
 するりと滑りこんできた手も、やはり冷たくて。
 冷たい同士じゃどうにもならないと睨むと、これから暖まるんだよと笑う。
 これからと言われても、今が寒い。
 早く暖まる様に、繋いだ手に少しだけ力を込めた。



 何も変わっていない。
 何も終わっていない。
 何も始まっていない。

 ただ年が明けただけ。
 特別な事は何もない。


「あ……そういえば」
「何だ?」
「言おうと思って忘れてたんだが」


 何が変わろうと、
 何が終わろうと、
 何が始まろうと、


「タイミング逃したから言いにくいんだが」
「……早く言え」



 ずっと共に在りたい。



「今年も、よろしくな」




 そんな事を、白い空に思った。




――――

エンディングっぽい。
微妙に地味な正月。

今年もよろしくお願いします。

090105


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