New Year 3 ダス雷
日付が変わった瞬間に頬に触れた温もり。
その後に見た彼の照れた様な微笑みと、
耳元で囁かれた言葉。
目を覚ましたのは、普段起きる時間よりかなり遅い時間。
昨夜は日付けが変わるまで起きていたのだから、当然と言えば当然なのだが。
寝坊助な息子は、隣で穏やかな寝息を立てている。
私達の時間がズレただけの、いつも通りの朝。
頬に触れたのが彼の唇だと認識できたのは、彼が真っ赤になって飛び退いた後だった。
私は柄にもなく驚いてしまって、彼はもう寝るのだと中々顔を見せてくれなかった。
それでも眠る寸前にこちらを振り向いて笑った顔は、
年が明けるという事を年号が変わる事だとしか捉えていなかった私にとって
そんな過去を勿体ないと思わせるには、十分なものだった。
幸せな年明け、だったと思う。
「顔、緩みっぱなしだぞ」
声に引き戻されて見下ろせば、眠た気な笑顔と目が合う。
胸の内を擽られる様な感覚に、顔を引き締める事は難しい。
そんな言い訳じみた事を言おうとして、
どうにも言葉が出てこなくて、
彼から目を逸らしてようやく出て来た言葉は、
不意に響いたインターホンの音にかき消されてしまった。
――――
何が何だか。
若干真面目に。
090104
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