New Year 2 ミンスネ



「ハンスさん、『姫始め』ってご存知ですか?」


 目が覚めて、朝食を取って、下らない会話をした。
 漸く部屋も暖まり、頭が働き出したタイミングで、フレミングは切り出した。
 惜しむらくは、一瞬前まで新聞を読んでいた事だ。
 雪という天気予報に顔をしかめていて、反応が遅れた。

 不穏な空気に顔を上げた時には、既に嫌な笑みが俺を見下ろしていて、なぜかその手には縄が握られていた。


「男同士だと、『殿始め』って言うらしいですけどね?」




 インターホンを押すのを躊躇ったのは、部屋の中から誰かが暴れているような物音がしたからだった。
 一瞬ダルトンと顔を見合わせるが、微かに漏れ聞こえる叫び(努?)声は確かに彼の物。
 思い切ってボタンを押し込むと、盛大に何かが転んだ様な音の後で静かに扉が開いた。


「……新年早々運動会か」
「……そんなもんだ。で、何の用だ?」


 酷く疲れ切った様子の彼に黒い重箱を掲げて見せると、やはり不思議そうな顔をする。
 作りすぎたんだと説明を省略すると、ふぅんと呟き受け取った。


「有り難く頂くよ。一人でな」
「……そこで寝てる人はいいのか?」
「いいんだ」


 彼は妙にきっぱり言い切り、ふっとため息を吐いた。




「つまみ食いの罪は、未遂でもまあまあ重いんだ」




――――

姫始めは一月二日です。
酸1を復習した結果がこれだよ!

090101


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