prayer ダス雷




「ソリダスが一人じゃ出来ない事を、俺がやってやろうと思ったんだ」


 時と場合によっては面白い事になりそうな台詞を、私は笑って受け流した。
 頭を撫でる優しい手の感触に、気恥ずかしさを覚える。


「だがジャック。……これは考えすぎじゃないか?」


 彼は座り、私は寝て。
 私の頭は彼の膝の上に。
 所謂、膝枕という態勢。
 彼の太ももは枕にするには堅すぎて、お世辞にも快適とは言えないが。
 ふわと香る彼の匂いとその温度を感じるのは、悪いものではなかった。


「ソリダスが何でも出来すぎるのが悪い。仕事も家事も、俺より遥かに上手いしな」
「それはそうだが……」


 俺だってあんたに何かしてやりたかったのに、とむくれる彼の表情が愛しくて。
 腹の上で組んでいた手を解いて、彼の頬に触れた。

 口付けを交わすには遠い。
 触れるのには丁度良い。
 それでもぴったりとくっついている。


 これ以上に何を望むというのか。


 私はもう十分に。
 お前が傍に居てくれるだけで。
 例え愛してくれなくても。
 けれど、ジャックがあまりにも幸せそうに笑うものだから。


 飛び出しそうになった言葉を飲み込み、違う言葉を口にする。


「お願いがあるんだが」
「なんだ?」


 望みを。



「このまま、少し眠らせてくれないか?」




「そのための膝枕、だろ」




――――

親孝行で膝枕って……。
普通は肩叩きとかだろう。
まぁ親子兼馬鹿ップルですので。

080815


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