mother ソリリキ



 思うのは、誰の事?




「誰の事を思えば良いんだろうな」


 あまり縁が無い日ではある。
 俺はそれを知らないし、意識する事も無かった。
 改めて言われてみれば、気になら無い事もない。


 母の事。


「居ないのなら思う必要は無い」


 リキッドは疑問をにべもなくはねつけ、不機嫌そうな顔で息を吐く。
 こいつの場合は不機嫌がデフォなので、まぁいつも通りという事だ。
 俺がそうでもないけどな、と呟くと、説明を求める様に眉を上げた。


「オリジナルを『母』だと言え無くも無い。男だが」
「……男なら『父』だろう」
「『父』も解らないがな」
「だからと言って感謝する気にはなれん」
「それは同意だ」


 あの男なら、誰を思うのだろうか?
 強く美しい、鋼の様なあの女性を思うのか。
 それとも、俺達の知らない誰かを思うのか。


「――もし母親が居たら、何を言いたい?」


 リキッドの問い掛けに、少しだけ考えるフリをする。
 そんな事決まっている。
 ずっと考えていた事だ。


「お前も、同じ事を言うと思うが」


 笑って、口を開いた。



「ありがとうと、言ってみたいんだ」




――――

一日遅れの母の日。
誰を母とするか? は、考えると楽しいですね。
ネイの母上はどんな人なんだろう。

080512


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