moment ネイソリ
ふとした瞬間に、思いが伝わる時がある。
「あ、悪い」
とん、と肩がぶつかって、視線がゆっくりと交わった。
「許さん」
「……はぁ?」
奴はにやにやと笑って、ぶつかった肩を押さえてみせた。
「骨が折れたみたいだ」
「どこの当たり屋だ」
「弁償して貰わないとな」
「話を聞け」
腕が、肩に回される。
顔がいつの間にか近くにあって。
――全く。
「弁償には……」
「ん?」
「それだけで足りるのか?」
唖然とした顔が可笑しくて、今度は自分から顔を寄せた。
――――
ふとした瞬間にいちゃつくおっさん。
若いね。
080309
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