defiant period ライ雷



 今更。



 ため息を吐いて爪を噛めば、彼の手が伸びてきてそれを止めさせる。
 ピンク色についた白い噛み跡と同じ色をした手が、触れる。


「行儀が悪い」
「……関係無いだろ」


 乱暴に手を振り払うと、彼は可笑しそうに目を細めた。


「反抗期か?」
「とっくの昔に……」


 終わった、と言おうとしたが、思い当たる節は無い。
 あまり一般的な青春時代では無かったし、反抗のしようが無かったというか……。
 着地点を見失った言葉は虚空をさ迷う。


「終わった?」
「俺に聞くなよ」


 それもそうだと、肩の力を抜く。


「苛々してるな。どうした?」
「あんたには関係無いだろ」
「何か有るならおとーさんに相談してみろよ」


 俺は結構怒っていた。
 頭に血が昇っていた。
 そんな人間には、あまり話し掛けない方がいい。
 傷つけても、気付かない。


「今更父親面か? おめでたいな。助けてくれなかった癖に!」


 瞬間的に、後悔に心臓を捕まれる。
 勢いで口をついて出た言葉。
 でもそれは紛れもない――。



「今更父親面だ。今度は助けられる様にな」



 本当に、今更。
 でも、まだ。
 きっと、まだ。



「……遅いんだよ。馬鹿親父」




――――

反抗期。
その内三者面談(ダスライ雷)の話書きたい!

080510


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