newly married ダルスネ



 可愛い奥さんが居て
 赤い屋根の一軒家に住んで
 子供は野球チームが出来るくらい作って
 優しい顔をした犬を飼う。



「ただいま」


 俺がそう声をかけると、キッチンに立っていた奥さんは顔を上げた。
 仏頂面に光る包丁が、よく似合う。
 ……あまり似合って欲しくは無いアクセサリーだが。


「早かったな」
「可愛い新妻に早く会いたくてな」
「誰が新妻だ」
「そう睨むなよ。包丁が恐いぞ?」


 怒る気力も無いのか、一つため息を吐いただけで彼は料理に戻る。


「夕飯はまだだぞ」
「手伝おうか?」
「要らん。着替えてテレビでも見てろ」


 邪魔という事なのだろう。
 まぁ彼の料理の腕は確かな物だし、下手に手伝って味のランクを下げる事もあるまい。
 へいへいと返事をしつつ隣室に移動しようとした俺の耳に、彼の呟きが届いた。



「……疲れてるだろうしな」



 赤い屋根の一軒家じゃあ無いけれど
 子供なんて作れる筈無いけれど
 マンションだから犬飼えないけれど。


 可愛い奥さんが居れば。


「……やっぱ手伝うわ。食器出す位なら、邪魔にはならないだろ?」
「まぁ、そうだが」


 明日も頑張れるよ。



「助かる。ありがとう」




――――

テーマはずばり、新婚さん!
お風呂にします?
ご飯にします?
それとも……

080508


あきゅろす。
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