flower ネイソリ



 外出から帰ってきた彼から渡された物を見て、俺は目を丸くした。


「……これ、どうしたんだ?」
「くばってたから貰ってきた」


 何でもない事のように、さらりと彼は言う。
 嘘を吐いている様な様子でもないし、そんな事をする理由もない。
 感じたのは妙な安堵が半分。


「残念そうだな」


 にまにまと笑いながらネクタイを緩める彼を、ぎっと睨み付ける。
 大体こんな物貰ってもどうしようもない。
 食べれる訳でも無ければ、他の用途に使う事も出来ない。
 男二人の部屋には不釣り合いな代物だ。


「どうしろってんだ、こんなもん」
「俺に言うなよ。配ってた奴に言え」


 俺は仕方なしに、それを持ったままキッチンに向かう。
 申し訳程度に施されたラッピングを解き、茎の先を僅かに切る。
 手ごろなグラスに水を注ぎ、その中に立て掛ける様に射した。

 それを見て、彼は笑う。


「こんなのも悪くないだろ?」
「……ま、そうかもな」




 肩をすくめて同意をしめすと、赤い花はゆらりと首を巡らせた。




――――

おめでたかったから。
祝いといえば花です。

そんな感じでした。

080506


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