chance ソリ雷



 隙だらけ。



 腹の上に乗った重さに目蓋を開くと、そこには満足気に笑う彼が居た。
 ふふんと息を吐き、こちらを見下ろしている。

 ぼやける視界に、目を擦る。


「隙有り、だ」
「……何がだ?」
「も少し慌てろよ。折角上を取ったのに」


 唇を尖らせる様子が可愛らしいが、どうにも眠くて仕方ない。
 目の届く所に時計は無いが、恐らくまだ起きるには早すぎる時間だろう。
 あくびを噛み殺しそこね、再び視界が曇る。


「つまらないな」
「俺の上を取るとは、雷電も腕を上げたな」
「棒読みなのはわざとか」
「当然」


 彼はむっつりと黙り込む。
 俺はもう一度目を擦ろうと、腕を上げる。

 だがそれは叶わず、掴まれて止まった。


「たまには『ぎゃふん』と言わせたかったのに」


 もう『ぎゃふん』は古いんじゃないか?




 言葉にするには、酸素が足りなかった。




――――

弱い癖に強気、という一文に感化された。
そして蛇受けがキてたので混ぜてみた。


混ざらなかった。

080504


あきゅろす。
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