cigarette ネイソリ
冷たい風が頬を撫で、ぼやけかけた意識が覚醒する。
目をこすり時計を見ると、まだ宵の口とも言えない時間。
あまりにも早すぎる睡魔の訪れは、昨日の徹夜が原因か。
まだ若いつもりだか、と少しだけ考え込んだ所で、ベランダにつながる窓が僅かに開いているのに気が付いた。
「起きたのか。小学生でもこんな時間には寝ないぞ?」
「……何してるんだ」
「見て解らないか?」
彼はふっと煙を吐く。
だが、その手に握られているのは彼愛呑の葉巻では無く俺が買い置きしておいた煙草だ。
「宗旨換えか?」
「切らしてるんだ。買いに行くにも、お前寝てたしな」
置いていけばいいだろと呟いて、彼の手から煙草を取り上げる。
置いていける訳ないだろと、彼は肩をすくめてみせた。
「お疲れな眠り姫を置いて出かけられるほど、薄情じゃないつもりだ」
ゆるく吸いこんだ煙は、なんだか何時もより苦い気がして。
「……余計なお世話だ」
それを、ため息と共に吐き出した。
――――
良い時間帯に寝ちゃうと、なんだか勿体ない。
でも結構気分が良い。
080430
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