doubt ソリ雷



 愛してるとか好きだとか
 馬鹿馬鹿しくなって全部投げ出したくなる。



「どうしてこんな事をしなくちゃいけないのか、疑問を持った事はあるか?」


 ぬるま湯の様な気怠さと、這い寄る睡魔。
 目を閉じれば直ぐにでもいってしまいそうな空気の中。
 彼は心底うんざりした様に呟いた。


「それは、何に対しての疑問だ?」


 問うと、彼はじっと俺の顔を見つめた。


「愛してる」


 唐突に吐かれた短い愛の言葉。
 重ねられた唇の甘い匂い。
 触れ合う体温の僅かな上昇。


「人間ていうのは不便な生き物だ。こんな事しなくちゃ愛すら伝えられない」


 愛の言葉。
 温度を求める行為。


「思うだけで、気持ちが伝われば良いのに」
「……それは困るな」
「どうして?」


 微かに震える細い肩に、手を回す。
 彼は驚きに目を開き諦めた様に力を抜く。
 引き寄せて、こつんと頭をぶつけた。



「お前を抱き締めて、やれなくなる」




――――

散文的。
昔から考えてたネタ。

事後ですな!

080427


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