good night ネイソリ
珍しく奴が朝帰りをした。
色恋沙汰ではなく、前々から予定されていた仕事でだ。
俺は少し早めに起きて、奴の帰りを待っていた。
がちゃ、ばたん。
ふらふら、よろよろ。
「ただいま」
「おかえり。随分疲れてるな」
「さすがに……朝から朝までこき使われると……」
どうやら相当の激務だったようだ。
目蓋下がりかけの眼の下にはクマが出来、足元もおぼつかない。
「腹減ってるなら何か作る。風呂が先か?」
「……まず、寝る」
俺の問い掛けにあさってな回答を残し、彼はソファに体を横たえた。
せめて着替えろとか、寝るならベッドでなんて文句も聞こえはしないだろう。
せめてネクタイくらいは外してやろうと、彼の首元に手を伸ばした。
ぱちりと開く、彼の眼。
驚いて離そうとした手を捕まれる。
引かれ、倒れこみ、重なる。
彼は再び目を閉じて、耳元で囁いた。
「……おやすみ」
――――
おやすみーのーちゅうー♪
だそうです。
080425
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