give and take ライ雷



「腹減った……」


 外出から帰ってきた俺に向かい、一言。
 奴はソファに俯せに寝て顔を伏せたまま呻いた。


「……何か食わせてくれ」
「自分で作るとか買いに行くとかいう発想は無いのか?」
「残念ながら腹減りすぎて力が出ないんだ」


 どこの食いしん坊だよ、という突っ込みをぐっと飲み込む。
 彼がふらふらと上げた顔には、あまり生気が無く。
 眼の端に涙なんて貯められると、ついつい甘やかしてしまいそうになる。


「……お前は何をしてくれるんだ?」
「ぅん?」
「俺はお前に飯を食わせる。お前は俺に何をする?」


 ギブアンドテイク。
 別に金を取ろうとか、そんなつもりは無い。
 自分に口実を作りたかっただけだ。
 甘やかしてるのではない、と。
 彼はううんと唸り、それから名案を思いついたのかの様に表情を明るくした。


「ちゅーしてやるよ」
「……それは頑張って料理せざるを得ないな」


 ……まぁ、そんなに期待はしていなかったが。

 彼はちょいちょいと手招きをしている。
 今済ませてしまうつもりなのか、と顔を寄せると柔らかい感触が唇に触れた。




 それがもたらす安心感は、俺が与えられるギブには十分すぎるテイクかもしれない。




――――

何故か出無精なイメージがついてしまってる。
あれ……駄目人間……?

080424


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