talking in sleep ダス雷



 私を呼ぶ彼の声が聞こえた。

 正確に言えばそんな気がしただけで、本当に聞こえたかは怪しいものだ。
 けれど私は何の疑いもなく立ち上がり、彼の眠る隣室へ移動した。


 勘違いであれば、それでいい。
 彼が呼ぶなら、行かない理由は無い。


 彼は私が最後に見た姿のまま眠っていた。

 美しい眼は伏せられ、胸は規則的にゆったりと上下する。
 シーツに広がる金髪を撫でると、彼の薄い唇が僅かに動いた。


 声こそ無い。
 けれど、その動きは。


『そりだす』


 私の名を、呼んでいた。



――――

寝言は寝ていえ! と言われても寝て言わないと寝言じゃないです。

080423


あきゅろす。
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