I love you ソリリキ



 『愛してる』なんて陳腐な台詞を、
 まったく、さらっと言ってくれる。


 その台詞を口にしたのはテレビの中の若い男優。
 精悍な顔つきで愛を語る。
 その台詞を受けたのは、清楚な印象の女優。
 男の愛を喜び、涙を流す。

 陳腐なドラマに陳腐な台詞。
 俺はリモコンに手を伸ばす。


「ラブストーリーは嫌いか?」


 笑いを含んだ奴の言葉に、ボタンを押そうとした指が止まる。
 見れば、奴はにやにやとした笑いを隠そうともせず、俺を見つめていた。
 何となく不快で、目を逸らす。


「好きそうに見えるのなら貴様の目は腐っている」
「好きそう、と言うよりは羨ましそうに見えたがな」
「誰が羨ましがるか!」


 思わず机を叩くと、思いの外良い音がした。
 奴はまあまあと俺を押し止めるが、にやにやとした表情が変化しない限り効果は無い。


「在り来たりで、陳腐で。不快なだけだ!」
「そう興奮するな。俺の目が腐ってたんだ」


 だって、と奴は笑みを深くした。


「俺にはお前が可愛く見えるからな」


 しまった、と思った時にはもう遅い。
 奴は耳元で囁く。

 あの若い男優と同じ、陳腐な台詞を。



「愛してる」




――――

ソリ腐男子説。
仲良くテレビとか見てれば良いよ。
スポーツ中継に熱中して喧嘩とかさ。

080422


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