butterfly オセライ


 

「お前は蝶の様な男だな」


 ベッドから半身を起こしながら、オセロットはぼそりと呟いた。
 白いが意外にがっしりとした腕を、同色の薄い胸の前で組んでいる。
 不機嫌そうに目を細め、言葉を続けた。


「花から花へ飛び回り、蜜を吸う」
「……そんなに綺麗なものじゃない。電灯に集る蛾で十分だ」


 俺は着替える手を止めずに答える。
 軽く香水を振った。
 あの人が好む、俺の大嫌いな匂いの。


「大佐の所に行くんだろう?」
「他に行くところなんて無いよ。お前の所と、大佐の所以外」
「じゃあ、俺の所にずっと居ればいい」
「お前が大佐より偉くなればそうするよ」


 鏡を見る。
 少しだけ情けない顔をしているが、平気だろう。

 大丈夫。
 まだ笑える。


 彼は大体俺の二倍くらい情けない顔をしていた。
 とびきりの笑顔を向けてやる。


「大佐を越えて、俺を籠に入れて飼ってみせろ」



 ひとつの花へ、ずっと留まれる様に。




――――

オセライ。
オセロットの声は想像しやすくて良い。
トリッピーGJ。

080413


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