power failure ソリ雷


 

 ばつんという嫌な音と共に、部屋は暗闇に呑まれた。
 光を奪われた後に残ったのは、叩きつける様な雨の音とくぐもった雷鳴。


「停電か……」


 彼の呟きに思わず頷いた……後に見えていないと気付き、慌てて口を開く。


「そんなにひどい雨だとは思わなかったけどな」
「暗いのは恐いか?」
「……俺は子供か」


 ふと脳裏をかすめる昔の記憶を振り払う。
 闇から伸びる死人の手を恐れていた過去の話。
 完全に恐怖が消えた訳ではないけれど。


「アンタが居るから、平気だ」


 ふわりと、後ろから抱き締められる感触。
 停電する前は随分と距離があったはずなのだが。


「闇に紛れてセクハラか?」
「大事な物は手元に。安全確保の第一歩だ」


 ようやく闇に慣れてきた視界に映った彼の顔は、ひどく優しくて。


「……どこ触ってんだ、変態っ!」



 思い切りビンタを見舞ってやった所で、部屋の中に光が戻って来た。




――――

雷が鳴ってた。
停電とかしたら面白いかなと思った。

当初はダス雷だった。

おんみょうだんをくらえ!

080409


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