run after ネイオセ




「隠してくれ!」


 息を切らしながら飛び込んできた彼は、こちらの返答を待たずにテーブルの下に潜り込む。


「別に構わんが」
「助かる。あいつはしつこくて叶わん」


 誰に、とは聞かない。
 彼は色々な人から追われる事が有るが、こんな風にわざと見つかる様に隠れる相手は一人しか居ないからだ。


「親切なんだか意地悪なんだか」
「愛だよ、愛」
「……来たぞ。頭引っ込めろ」


 どかどかと乱暴な足音が高らかに響き、けたたましい音を立ててドアが開く。
 そこから顔を覗かせたのは、線の細い神経質そうな横顔。


「隠れても無駄だ、ジョン!」
「悪いが此処には俺しか居ないぞ、オセロット」
「見え透いた嘘を……」


 俺の言葉を鼻で笑い、オセロットは音も無くテーブルに近寄る。
 無駄に優雅な様子で跪くと、一気にその下を覗き込んだ。


「なっ……!」
「嘘じゃないだろ?」


 オセロットは一瞬唖然とした様だったが、すぐに気を取り直した。
 キッと俺に向き直ると、例のポーズを取る。


「……奴に会ったら伝えておいてくれ」
「何てだ」

「『山猫は獲物を逃さない』と」


 去っていくオセロットの背中があまりにも寂し気で、『逃しすぎだろう』と声をかけるのは憚られた。



「だ、そうだが? そこのカーテン」




――――

ネイソリ+若オセ。
メインはネイオセ。

オセロットに追い掛け回される夢を見たよという話。

空回ってればいいと思うよ。

080408


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