strawberry ネイソリ


 

 赤い宝石。



「もう喰っても良いか?」
「まだだ。洗ってやるから待ってろ」


 今にも飛び付かんばかりの彼を押しとどめ、俺はそれの封を破る。
 流水に通すとより一層鮮やかさを増し、視覚に焼き付いて離れない。

 へたを切り取り皿に盛れば、どこからとも無く腕が伸びてきて頂上の一つを掴み去る。


「『待て』すら出来ないのは、しつけられた犬以下だぞ」
「しつけられてない犬より上で十分だ。蛇だからな」


 屁理屈を捏ね、彼はそれを口に放り込む。
 途端に、ぱっと表情が明るくなった。


「美味い!」
「お前が駄々こねて買ったんだからな。不味いなんて言ったら叩きだすぞ」


 再び伸びてくる腕を交わし、俺もそれを一つ口にする。
 甘い香とみずみずしい歯応えに、自然と笑みが漏れた。


「確かに美味いな」
「俺とのキスとどっちが美味い?」
「そうだな……」


 寂しそうに空を掴む彼の手に皿を向けながら、考えるフリをしてみせる。

 馬鹿馬鹿しい質問だ。
 答えは解り切っている。


「イチゴだな」
「……そうか」





――――

ネイ「ちょっとイチゴ滅ぼしてくる」


お母さんと子供を書いてる気がしてくる。
もしくは飼い主と馬鹿犬。

はっ、バトーさん!?

080407


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