spring ダルスネ





「綺麗だな」
「そうだな」


 青い空に、舞う桃色。
 惚けた様に花を見つめる彼の横顔を眺めていると、自然と唇が弧を描く。
 我ながら気持ち悪いと自覚するが、自重する気はない。


「サクラという花だそうだ」
「それ位は知ってる。日本の花だろう」
「見るのは初めてか?」
「……テレビでなら」


 だろうなと笑うと、テレビだって立派な情報源だと膨れる。
 だが、と彼は眩しそうに目を細めた。


「ここには、あまり合わない花だ」
「原産じゃあないからな」


 開いた掌に、滑り込んでくる花びら。
 薄いピンクのそれはひんやりと冷たく。


「いつか、見に行こう」
「……そうだな。いつか」


 また春の日に。




――――

ダルトン君久しぶり。

季節ネタはやらねば。
四月ってあと何があったかなぁ。

080405


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