cooking ソリ雷





「ほら、手貸せ」
「……ん」


 ひやりと染みる消毒液の感触に、思わず背筋が伸びる。
 彼は手際良く流れた液を拭き取り、絆創膏を巻いた。


「……有難う」
「どういたしまして」


 しょげる俺を見兼ねてか、彼は困った様に笑って俺の頭に触れる。


「刀の扱いは得意なのにな」
「刀だけじゃないさ。自炊、してたし」
「外食ばっかりじゃ?」
「自分で料理してた! 今日はたまたまだ!」


 彼は押し止めるように両手を上げる。
 首を巡らせ、キッチンに視線を投げる。
 その先にあるのは先程から食欲を刺激する匂いを漂わせている鍋。

 タイミングを合わせたかの様に、炊飯器が鳴き声を上げる。


「出来たみたいだな」
「……俺は食べない」
「どうして?」
「手伝っていない。怪我しただけだ」
「じゃあ怪我が早く治る様に食べろ。治ったら自慢の料理をご馳走してくれ」


 ……空腹に負けた訳じゃない。
 彼の笑顔に負けたんだ。


「じゃあ、食べる」





――――

カレーか何かで。
雷電はあんまり料理が出来なさそうだけど、ローズと結婚してから死に物狂いで習得してそう。

080405


あきゅろす。
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