rain ダス雷
雨の音を聞きながら。
ばんと勢い良く玄関のドアが開き、びしょ濡れの彼が飛び込んでくる。
その金髪はいつもより艶を持ち、寒さのせいか唇の色が薄い様だ。
すうと頬を一筋流れる涙の様な雨粒が、眼を奪う。
おかえりと声をかけると、返答代わりにくしゃみが返ってきた。
「……帰り際に降られた。朝は降ってなかったのに」
「災難だったなぁ、ジャック」
災難どころじゃない、と苛立たしげに鼻を啜る。
タオルを被せてやると、彼はきょとんとした表情になった。
「タオル、用意してたのか?」
「傘を忘れてるだろうと思ったからな。無駄にならなくて良かった」
笑いかけるが、彼は不満そうに口を尖らせる。
「何でもお見通しだな、ソリダスは」
「ジャックの事ならな」
「じゃあ今俺が何考えてるか解るか」
「そうだな、多分……」
彼が息を吸う音がした。
「「子供扱いするな!」」
――――
よく傘忘れて濡れ鼠になってたなぁ。
正統派おとーたんダス。
080404
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