go to bed ネイソリ
「そろそろ寝るか」
何気なく声をかけると、彼の肩が震えた。
ぎこちなくこちらに向けた顔は絶望に歪み、額にはうっすらと汗が滲んでいる。
「もう……か?」
「そろそろ寝ないと明日に響くぞ」
時計の針は丁度真上を指そうとしている。
部屋は静寂に包まれ、空気は冷たい。
「俺、今日は寝たくない」
「さっきから眠そうに目を擦ってたのは誰だ?」
「今覚めたんだ」
「俺は眠いからお前も寝ろ」
そっけなく告げると、彼はいよいよ泣きそうな顔でうなだれた。
その姿がまるで小さな子供の様で、込み上げてきた笑いを噛み殺す。
「仕方ないな」
立ち上がり、彼の手を取る。
大きくて硬い。だが温かな。
「意地張ってホラー映画なんか見るから寝れなくなるんだ」
「わざわざ吸血鬼モノ借りてきた癖に……」
ベッドに横たわり、灯りを消す。
手は、繋いだままで。
――――
可愛い子アピール。
まぁ、ガイ・サベージやってるんだろうけど。
あれだけ別に付けてくれれば良かったのに。
080324
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