heat ネイソリ





 トイレから口笛を吹きながら出てくると、彼がぼんやりとした様子で立っていた。
 どうやら風呂から上がったばかりらしく、裸に腰のタオル一枚だけという中々官能的な格好だ。
 濡れた前髪の隙間から見える、熱に浮かれた緑の瞳が色っぽい。
 襲い掛かりたい気持ちをぐっとこらえ、尋ねる。


「どうしたんだ、そんな格好で」
「……のぼせた。頭が、ふらふらする」


 ついでに足元もふらつくらしく、傾いた体を慌てて支えた。
 密着した肌から、いつもよりかなり早い彼の鼓動と熱い体温が伝わってくる。


「何でこんなになるまで入ってたんだ?」
「……考え事」


 肩を貸して、ソファに座らせる。
 冷やしたタオルを額に乗せてやると、彼は幸せそうに目を閉じた。


「ちょっと待ってろ、服取って来るから」


 反応らしい反応が返ってこない。
 確認の意味で顔を寄せると、彼の眼が薄く開いた。


「あんまり顔寄せないでくれ。お前の事考えててのぼせたのに……余計にのぼせる」


 慌てて飛び退いて、風呂場へと向かった。


 きっと今、俺は柄にも無く赤面してしまっている。
 彼の熱が移ってしまったのだ。
 そういう事にしておこう。


 嬉しかったなんて口が裂けても言えないから。




――――

官能的というより、
おっさん丸出しなんじゃないか。
いろんな意味で。


裸の描写が面白かった。
そんだけ。

080323


あきゅろす。
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