cat ダス雷


 


 彼の頭の上で、ぴょこぴょこと揺れる物がある。
 それは薄く、黒い毛がフサフサと生えていて、音を収集する能力を持っている。

 俗に猫耳と呼ばれているものだ。


「ジャック、それは……」
「何も言うな」


 有無を言わさぬ返答。
 彼は大層不機嫌そうに膝を抱えている。
 理由を聞いてもきっと教えてはくれないだろう。

 手を伸ばして触れると、彼の体がぴくんと震えた。
 ふわふわとした感触が心地よい。


「……あんまり触らないでくれ」


 しゅんと垂れた耳に、涙目に、赤くなった頬に、体育座りに。


「悪くない。というより、良い」
「何がだ」


 恨めしそうに見上げてくるジャックの頭を、くしゃくしゃと撫でてやる。
 本物の猫の様に。


「そろそろエサの時間だな」
「な゙ーっ!」




 彼は私の手に軽く噛み付いて、ふふと笑った。




――――

ニャイ電。


ソリニャスの方が面白いかと思ったんだけどさすがに可哀想だった。
私が。

でもダス雷らしいダス雷。

080319


あきゅろす。
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