box ソリ雷

 


 その日俺は何をしていたのかと言えば、届いた荷物を紐解いていた。
 中身はこの間見つけた掘り出し物の食器セットだ。

 梱包材の所為か、少し大きめの箱で送られてきた。
 大人一人がすっぽりと入れそうな。

 ダンボール箱。



「……スネーク、そんなに見つめると穴が開くぞ」
「それは迷信だ」


 妙に自信有りげに言いつつも、視線は箱から外さない。
 何がそんなに彼を引き付けるのか、全く解らない。
 きっと彼にだけ解る何かがあるんだろう。
 俺にはただの茶色い箱にしか見えないが。


「何が面白いんだ」
「面白く無い所が無いだろう」


 何処が? とは言わない。
 二時間。うっかり聞いてしまった俺は、ダンボールについて語る重低音を聞いた。


「なぁ、スネーク」
「何だ?」
「俺とダンボールどっちが好きだ」
「決まってるだろ」


 ふふんと自信有り気に笑うと、彼は持っていたダンボールを俺に頭から被せた。
 茶色の世界。紙の匂い。抱き締められる感触。


「愛してるよ」




 俺は何も言わずにダンボールを解体し、ゴミ袋に放り込んだ。




――――

蛇とダンボールと時々俺。

ダンボール馬鹿すぎないか。

080318


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