empty ダルスネ




 俺の中は空っぽだ。


 不意にあいつの口から零れた言葉に、俺は動きを止める。


「どうした?」
「……いや、なんでもない」


 初めて会った時――まぁ、最悪な出会い方だったが――何処か曖昧な印象を抱いた。
 存在感は有るが、影が淡い。
 それは奴が元から持っていたモノなのか、記憶が無いという不安定さから来るものなのか、俺には解らない。
 もしかしたら、奴の『オリジナル』が持っていたモノなのかもしれないが。

 それが今は、ひどく寂しげに見えて。


「誰だって初めは空っぽだ」
「……励ましてくれるのか?」
「独り言だ」


 ふ、とあいつの笑った気配がする。


「俺は空っぽで良かったと思う」


 意外な言葉に、思わず顔を見た。
 緩く唇が弧を描いている。


「中身まで、オリジナルと同じじゃない。違う……人間、だ」


 照れたようにそっぽを向く仕草に、笑みが漏れた。


 空っぽなんかじゃない。
 そこには『お前』が居るんだろう?


 耳元で囁くと似合わない台詞だと笑った。




――――

駄作って書いてあったから駄作なんだろうなぁ。

酸2の蛇が凄く好きで好きでたまらん。
好きすぎる。

080307


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