hold ダス雷?

 




 彼の笑い声が、高らかに響いていた。



「そんなに笑う事ないだろう、ジャック」
「だって、ソリダス、意外と」


 けほけほと咳き込みながら、それでも笑いは納まらないらしい。
 口に手を当てたまま、くっくっと身体を震わせている。


「意外と可愛いくて」
「……一体私に何を飲ませたんだ?」


 ため息を吐いて、手鏡を眺める。
 そこに映っていたのは、ひどく懐かしい顔だった。
 小さく丸い輪郭に、碧色の目をした少年。
 髪の色だけは何故か白く、きっちりとまとめられている。

 その少年は数十年前、私と同じ名前で呼ばれていた。


「オタコンがどっかから貰ってきた物らしいけど」


 ようやく治まってきたらしい。
 涙を拭きながら、ジャックが言った。
 が、何かを思い出したらしく顔を伏せて震えだす。
 きっとあいつが被害にあっていたんだろうな、と思った。




「大丈夫、一日で元に戻るってさ」


 電話の受話器を置きながら笑いかけてきたジャックに、私は黙ったまま頷く。
 不機嫌に見えたのだろう、彼はしゅんと私の隣に腰掛けた。



 昔の姿を見れば、どうしてもその頃の記憶も一緒に甦ってしまう。
 そしてそれは、あまり良いものではない。
 『蛇』ならば、誰もがそうだ。

 だが。



 私はひょい、と彼の顔を覗き込む。


 あの時では浮かべる事の無かった笑顔で。



 彼は笑顔を返し、私の身体に腕を回した。
 態勢や体格差もあり、私が彼にすっぽりと包まれてしまう。
 ……いつもの、私と彼のように。


「好奇心も勿論あったけど、たまには俺が抱き締めてやりたかったんだ」



 長く忘れていた気がする。
 ずっとずっと昔の記憶。
 抱き締められるということ。




 ぎゅっと、彼の腕を掴み私は言った。


「明日が楽しみだな、ジャック」




――――

ショタコンとオタコンは似ている。
あとショコタンも。

子供化ネタをやりたかった。
調子に乗って女体化も考えたけど、それほもじゃなくね?と思ったのでやめた。

080314


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