day ダス雷


 


 目を閉じていても感じる眩しさがあった。

 朝の冷たい空気が意識の覚醒を促す。
 目覚めた瞬間に飛び込んでくる太陽の光も、鳥の声も、あまり好きではない。
 それらはあまりに明るく、傲慢に一日を始めてしまう。
 始めたくない一日など、無いかのように。

 でも、今日は違う。

 体を起こし目を擦ると、隣で眠っている青年を軽く揺すった。


「ジャック、起きなさい」
「ん……」


 僅かに呻き声を上げるが目は閉じたまま。
 緩慢な動作で寝返りをうつと、金髪がさらさらと流れた。


「今日は私と出かける約束だろう?」
「解ってる……」


 必死に夢の淵からはい上がろうとしている様だが、上手くいかないらしい。
 少しだけ笑い声を上げると、彼は目を閉じたまま顔をしかめた。


「……お願いがあるんだが」
「何だ?」


 彼の白い腕が伸びてきて腰を掴んだ。
 私の腹に顔を寄せて、囁く。


「あと二時間寝かせてくれ」


 私は時計と彼を見比べて、仕方ないな、と呟いた。


「ただジャック、寝る前に手を離してくれないか?」
「解っ……!」


 かばり、と彼の顔が上がる。
 眼も完全に開いていて、意識も覚醒したようだ。
 ……少しばかり、怒っているようだが。


「起きたばっかりだし……お前がいきなり抱きついてきたりするから」
「この……変態っ!」



 始めたい一日が、始まる。




――――

ある種のパラレロ。

ちなみにこのダスさんには眼帯がない。
ある方が格好いいけど、自分の目を潰した人と仲良くはしたくないかなと。

080311


あきゅろす。
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