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 この男の、こみ上げてくる残酷なまでの表情はたぶん誰も見たことがないだろう。
 陸也は大切な一人息子を抱え、祝杯をあげてドンチャン騒ぎのお祭り会場から二階の部屋へと抜け出していた。
「大丈夫か空也?」
 酔った勢いで皆から酒を飲まされた幼い空也は、頬を赤らめ、涙を滲ませて父の顔を見つめている。
 その挑発されているかのような表情に、陸也ならずともショタコンの気質があれば誰もが襲いたくなるだろう。
「パパぁ……僕、浮気しないよぉ? パパが世界で一番大好きー」
 そして追い撃ちの言葉。
 何の汚れも知らない子供は、大好きという言葉を誰にでも喋る。特に深い意味がないことを、父親も理解していた。頭の中だけは。
「パパも空也が大好きだよ」
 でも、感情のほうは浅ましい欲望が渦巻いて止まない。
 抱きかかえた息子をベットへ寝かすと挑発的な表情を眺める。潤んだ瞳がなおさら陸也の性欲を駆り立てた。
「早いな。空也も六年生か……」
 静かに眼鏡を外すと、愛しい息子に笑いかける。獲物を見据える冷たい微笑でうっすらと。
 これから何が起こるのか想像もしていない空也は、甘い笑みを浮かべてそれに答える。
「空也、大好きだよ」
 六年生のわりには造りの小さい身体――それは、ショタコン気質の強い陸也にとって、十分な性欲対象だった。
「パパぁ?」
「空也、大好きな人同士がすることをパパが教えてあげようか」
 ゆっくり顔を近づけ、小さな唇を舐める。マシュマロのように弾力のある唇に吸い寄せられ、舌でそこを割り開き、口腔内を舐め回す。
「――! んんん!」
 突然のことにジタバタ暴れる手足は、酔っているせいかさほどの力も感じず、抵抗も弱々しかった。軽くそれを押さえ込み、陸也はこの一時を楽しむ。
 口の中には、舌で感じ取れるほどしっかりした歯が並んでおり、絡み取られる舌が何かの生き物のように動く。
 そこに沢山の唾液を送っては舌の感触を貪る。何度も何度も同じことを繰り返すと、やっと観念したのか、喉を鳴らして唾液を飲み込む。
「うんっ!」
 断続的に漏れる甘い吐息に陸也は唇を離し、満面な笑みを浮かべる。
「あぁっ……」
 逆に息を切らした空也は、やっと離れた唇に荒い息を吐き出し、目の前の父親を信じられないように見つめる。


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あきゅろす。
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