毒 ]U

「何を……あぁっ!」
 締められる身体に、これまで以上の責め苦に襲われた麗は、髪を振り乱し身を捩ろうとする。しかし、強固に絡められた羽に最早、一ミリたりとも身を捩ることは出来なかった。
「さて、終演だ」
 男はニイッと唇を持ち上げると金色の目を細め、悶える相手を見つめた。反対に相手のほうは、身体を責めるものの動きが明らかに変化した様子に大きく目を見開く。
「いぃっ、やあぁぁぁぁぁっ!」
 身体全体を絡める羽が、一斉に高速振動を始める。目には見えない揺れでも、敏感になっている肌には酷なくらいの責め方に、麗の意識は完全に覚醒する。
「あぁ! あ、んあぁあぁあぁああ!」
 気がおかしくなるような感覚に、もう声を発することでしか助けを求める術はない。だが、その助けの言葉すらろくに口から出てこなかった。
「最後に朗報だ。この男の実力が俺の実力に追いついたその時、俺は俺の持つ全ての力をこの男に明け渡す。そうすればこの男は自我の喪失を免れ、俺という存在も不要となる。いつかくるその時に、俺は消滅する。まぁ、それがいつのことになるやらわからないがな」
 人の話を聞いているのかいないのか、青年は振動する羽と最奥を突かれる行為に悶え、喘ぎ続ける。全身が痺れていく感覚を覚えながらも、股間は嫌と言うほどに熱を集め始める。
「い……やはっ、あぁぁぁあぁぁっっ!」
 目を見開き大きく口を開け、声を大にして叫ぶと性器は射精する動きを見せながら揺れる。
 荒い息を吐き出しながら、麗は男をひたすらに見つめた。
「残念だな麗、もう時間だ」
「……?」
 男の言葉に麗は眉をしかめる。何が時間なのか意味がさっぱりわからないのだ。
「お前の親愛なるこの男が還ってくるんだよ」
 そう言うと急速に羽の振動は止み、きつく全身を絡めた羽も緩められ、身を退いていく。久方ぶりに外気に触れた肌は粘液にまみれ、全身に細紐で縛られたような痕が無数に残っていた。
「……また会えるのを楽しみにしているぞ、麗?」
 これまで以上に楽しそうな笑みを浮かべ、意志を伝動させることのできる羽を身の内に収めると、男は目を閉じる。すると六枚の黒い大翼はうっすらと半透明がかり、羽の先から光のような粒に変わり四散していった。


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あきゅろす。
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