どうやって目の前の男を静止させるか――その方が重要だった。だが、こんな状況下ではどうすることもできない。
隙をついて有利に事を進めたいところだが、その隙すら見当たらないのが事実。
せめて自由である腕と足でどうにかできないものかと考えた麗は、ある閃きに行動を実行した。
まず照準を流の胸に合わせて右腕を持ち上げると、左手でその腕を掴む。
衣服の中に隠した唯一の武器を使うため、右腕にはめた金属製の引き金を一気に引くと袖の中から勢いよく細矢が飛び出してくる。
鈍い音をたて、胸を突いたものに視線を走らせる流は矢を抜こうと攻撃を止めた。思い通りの行動に、締められた首を解放された麗は隙を見て壁際を逃れる。
と、ここまでは確かに計算通りだった。しかし次に流が仕掛けてきた攻撃は、この前の事件で麗が戦った時にも見たことがない一風変わったものだった。
まさか自分がこのまま拘束され、命までも捧げた主に辱しめを受け、凌辱の限りを尽くされるとは思っていない麗は、黒髪の青年の黒い翼が埋めつくす背後を取ると、再度にわたり右腕を持ち上げた。
To be continued.
Next scene 067)
毒
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