愛欲 W

「……はっ、も……やぁっ!」
 細い指先は何度か屈伸を繰り返し、再び相手の手を取ると率先して自分の良い所を押し当てる。ここまでされてしまえばもう、止めてなどと言う気もおきない。むしろこうなることを望んで訪れたのだから、男の行動は青年にとって思惑通りと言ったところか。
「本当に物好きでおられますね、我が君も。貴方様でしたらいくらでも相手をしてくださる女性がいるというのに……なぜ、いつも私を選ぶのです?」
 完全に浮き出た突起を摘まみ、指で弾いたアイザックは胸に当てた手を引くと、カインの正面へ移動する。
「……健康そうで何よりです」
 全快に広げられた股で、緩やかに曲線を描いて立ち上がったものを見ると、アイザックは唇を持ち上げる。
「あ、アイザック!」
「ご安心下さい我が君。この処理は私めの口でよろしいですね?」
 そう言って目の前で膝をつき、腰を折った男は両手で相手の膝を押し広げると口を大きく開けて舌を伸ばす。
「んっ……!」
 舌先を尖らせ根元から先端までを舐めあげると、一思いにペニスを口に含んだアイザックは上下に頭を揺らす。
「あぁっ……くうぅっ!」
 空を掴む手は、必然と自分の腑に顔を埋める長い黒髪を絡み取る。強い刺激が身体中を駆け巡る度に掴んだ髪を引っ張り堪え忍ぶが、どうにも我慢できるものではない。
「我が君、髪を引っ張るのはよして下さい。せめて私の肩を掴むかこの手を握って下さい」
 おもむろに口を離し、主を見上げたアイザックは足を押し広げていた両手を離すとその手を差し出す。
「……うん、わかった」
 差し出された両手をまじまじと見つめ、自分の白い手でそれを掴むと、指を絡ませて強く握る。体温を感じさせない、やけに冷たい手にゾクリと鳥肌が立つ。
「良いですね? では再開します」
 絡まれた指を光の宿らない瞳で確認し、股に顔を埋めたアイザックは、唾液で濡れてそそり立つ性器を口に含むとフェラチオを再開した。
 性処理までしてくれる執事など、きっと世界中どこを探してもおそらくは見つからないだろう。嫌とも言わず、嫌悪感を見せる表情もなく、ただひたすら自分に奉仕する部下を不思議に思うのもまた事実だ。
「……っ、はぁっ!」
 熱い息を吐き出し、丹念な愛撫を身に受けてカインは声を漏らす。


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あきゅろす。
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