「私の事を目敏いと思うんでしたら、辞めてもいいんですよ、薔薇十字騎士団を。ただし我が君、貴方様も道連れです」
そう言うとアイザックは僕の首に手をかけた。
体温の感じない冷たい素手だ。
キュッと指に力が入ると、それは徐々に僕の首を締め上げる。
喉が痛い。
息が出来ない。
苦しい、苦しい、苦しいよ、アイザック。
「抵抗なさらないんですか我が君?」
首を絞められながら僕は考える。
何時から君はこうなってしまったのか。
何時から君は僕を裏切っていたのか。
――イツカラ?
あぁ、あの日あの時、僕達が最初に出会った時からじゃないか。
なんだ。
僕は結局最初から一人ぼっちだったんだ。
これを寂しいって言うのかな。
「……どうして泣きながら笑っておられるのです我が君?」
「アイザック、僕が死んだらアベルをよろしく頼むよ」
「承知致しました」
首がメリメリと音をたてて、骨が砕けそうなのがわかった。
僕、アイザックの為になら死んであげてもいいかな、なんて思うんだ。
変だろうか?
変だよね。
だって僕にはまだやることがあるんだもの。
ごめんね、アイザック。
世界で二番目位に好きだったかもしれない。
でも、ここでお別れだよ。
僕は君を殺して置いて行くけど許してね。
お墓も作ってあげれないから、せめて君の死体に花でも添えてあげるよ。
何がいいかな?
けど聞いても君の事だから、いりませんって言うのかな?
その中途半端な紳士ぶりが、僕は大嫌いだよアイザック。
「アイザック、君は僕にとって世界で一番好きで、世界で一番大嫌いな人間だったよ。バイバイ、アイザック……」
ねぇ、世界の終わりは何時来るの?
僕はクルースニクを限定解除する。
ねぇ、アイザック。
生まれ変わるこの世界を、君と二人で見てみたかったよ。
ねぇ、アイザック。
独りになるのが怖くないなんて嘘だよ。
ねぇ、アイザック……
君を愛していた僕が君をコロシテしまうことを、
どうか許してね。
Fin
後書
元ネタはあたしの夢です。
カインは首絞められただけじゃ死にませんし、イザークだって黙って殺られるほど馬鹿じゃないだろうなぁ。
カインが世界を滅ぼしたら、イザークは次元を越えて何処かに行くものだと信じています(笑)
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