泣いて駄々をこねる程、僕は子供じゃない。
けど、君といる僕はこんなにも女々しくて自己嫌悪に陥る。
「抱いてよイザーク」
「……白昼から堂々、君は何を言っているのかな?」
「昼も夜もそんなの僕には関係ないよ」
シガリロを灰皿に突きつけ、書物に釘付けだったイザークの視線が僕に向けられる。
相変わらず感情の意図は察せず、けれど内心では呆れてるかその気になったかの50%50%だと判断して、もう少しの後押しをしてみる。
彼だって男だし、付いているモノは付いているし、残りはその気にさせる助力だけで十分。
「久し振りに会ったんだし、ねぇ……お願い」
なんて事は無い。
こんな陰険なイザークだって普通の男と何一つ変わらない。
「一回だけなら良しとしよう」
「一回で終われるの?」
悪戯に笑って見せる僕に、彼からの返事は貴重な含み笑いだけだった。
「イザーク、君もたまには自分に素直になったらいい。僕はそう思うよ」
忠告も無視され、伸ばされた手は僕の腕を引き寄せ、椅子に座ったままのイザークの前で棒立ちとなる。
「……んっ!」
「素直になれとは、こういうことかね?」
胸元を触れるイザークの手に、どうしてか敏感に反応する僕。
そうしてほしいのに、そうされたくない意地が葛藤する。
「どうなんだね?」
「――っ、いいよ……」
催促の言葉に僕は簡単な答えを乗せ、表情とともに快感を訴える。
どうなってもいい。
今ここで微塵にされても構わない。
僕の願いはいつだって変わらない。
――粉々にして欲しい。
「もっとしてよ」
「こうかね?」
催促の言葉に素直なイザークは、軽く僕の表情を見ながら胸元をまさぐる。
ボタンが一つずつ弾け飛ぶ。
現れた僕の素肌。上半身。
その一つ一つにイザークの唇が触れてくる。
「あ……やっ!」
胸の突起物を舐められ、あられもない声で喘ぐ。
どんなに情けないことだろう?
想像するだけで背筋に悪寒が走る。
僕がイザークにしか見せないこの姿。
ねぇ、イザーク。君は一体、どう思っているんだろうね?
散々、色んな事を考えては吐き捨てる。
何故かって?
それはイザークが僕の思考を遮るから。
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