「ほら、もっと鳴け!」
与えられる快楽に溺れ続ける俺はどこまでも貪欲で、救いの手なんかはもちろんない。むしろそんなものはいらないけど、半分呆れて半分同情じみた、皮肉な笑みを浮かべる義父がそれを一切合切清算してくれた。
情けない。
我ながら情けなさすぎる。
「お前さぁ……俺のこと嫌いじゃなかったか? なぁ、うんとかはいとか返事できねえのかよ!?」
できねえ。できるわけねえ。
こんなに腰打ちつけて、狂牛みたいに暴れ狂うものくわえて、あんあん鳴く俺に返事なんて出来ないだろう。
「っも……あはっ、やあぁっ!」
焼けるほどに熱くなった目頭を舐める舌先。それを嫌がるでも拒むでもなく受け入れる俺。
嫌な男と繋がる至福。
繋がって失っていく現実感。
長い間に渡り、しつこいくらいのピストン運動を繰り返され、ダラダラと垂れ流す快楽の涙に限界を感じ始める。
ああ、もうすぐ絶頂。
心はハイになり、身体まで自分のものではない感覚。
それは精神の解放だ。
――聞こえてくる。
あの、弾けるように繁殖する精子が、外に飛び出して行きたいと叫ぶ声が。
イっちまいなと皮肉に笑う義父の声が――
「あぁっ! はああああぁぁっ──!」
よくわからない怒りと悲しみと、快感にうちひしがれる思いを抱いたまま、俺は自分の腹へと白く濁った液体をぶちまけた。
最高に気分がいい。
女を抱いてもマスターベーションしてもこんな快感味わえねぇ。
最高だけど最悪だ。
「――まだへばってんじゃねえよ!」
いきなりの罵声。
荒い息を吐き出し、ふと現実に帰る。
呼吸を整える俺に、引きちぎられるくらいの強さでひっぱたかれた頬が熱を帯びる。それでも喜びよがる身体はどうかしてるんだろう。
俺はイったのに、奴はまだ中で遊んでいる。
持て余したモノを、高ぶるソレを突きつけて。
「んはっ……もっ!」
精神までギリギリと追いつめられた俺が、もう何を言ったって、何をしたって、貸す耳を持たない義父には無駄な話で、別に、俺が達しようが達さなかろうが義父には関係ない事であって、要は道具にすぎないのが今の現状であって……
――俺ッテ一体、何?
グチャグチャに溶けそうなくらい熱いアナルに注がれる精液。
垂れ流す不埒な行為の残り香。
──嗚呼、叫びてー。
「お前はよ、黙って俺の相手してりゃいいんだよ」
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