ある一室。
カーテンの隙間から射し込む日差しに照らされ、二人の男は情緒に耽ていた。
「いい感じだね」
男は揶揄するように笑い、翠緑の瞳に幼い少年の姿を映した。
寝台に張り付けられた身体は足を大きく広げたまま固定され、腕も自分ではどうにもできないように縛られている。
目隠しをされ、いま自分がどうなっているのかもわからない状態で、少年は身動ぎ、喘いだ。
「こんなもので感じてしまうだなんて、ロイも随分、安っぽい身体してるんだね」
そう言って男は、身体中に付着しているものを一つ、静かにつまみ上げる。
生きて動く物体そのものが、相手の身体を張って心も身体も掻き乱していると思えば、気分は上々、この上なく格別な感情を味わうことができた。
「ご主人様……!」
「何? この、滑(ぬめ)る感じが堪らないんでしょ?」
声を押し殺し、楽しそうに笑うロイの主人は、目の前に寝そべる全裸の中心を見た。そこには既に緩く湾曲し、先走りを滴らせたものがある。
少年がこうなるまで、あまり時間は要さなかった。
見えないものへの恐怖心が自分へ危害を与えるものじゃないとわかった途端、身体はもどかしいくらいの心地よさに包まれ、浅ましくもねだるように快楽を求めてしまい、その結果がこれだ。
「君は今、自分の身体が何に犯されているかわからないでしょ? 今日、僕のディナーに上がる、アレだよ」
“アレ”と強調された言葉に少年は腰を揺らした。激しく抵抗したつもりだったが、自由気ままに身体を這うものは、皮膚に吸着しており振り落とすことは叶わない。
「止めて、下さい……っ!」
生きたそれをリアルに想像して嫌悪を抱いたのか、ロイは耐え忍ぶように手を強く握り、長い栗毛から覗く唇を噛みしめた。
「嫌なんだ? こんなにしておいて嫌がるんだ? でも、そんなことすぐに忘れるから大丈夫だよ」
男の笑みは絶えない。
細い指で摘んだ生き物が、宙にぶら下がる感覚に胴をくねらせ暴れている。
渦を巻く硬い殻に、クリーム色の湿った体皮、一直線に伸びた角と目。
食用に育てられたそれは、かなり大きい。
「ロイってば、本当にやらしいよ」
クスクス笑いながら、男はそれを戻す。
「――んっ!」
戻された場所が場所のためか、歯噛みした唇から声を漏らす。ビクリと大きく身体をくねらせ、刺激に敏感な部分に付着した生き物に身悶える様は、男に歓喜を与えた。
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