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短編
歪む壊れた心と恋(臨→←帝)
好意を向けられのは幸せなことだ、だが好意にも限度と言うものがある。
極度な異常に近い好意は相手にたいしてはただの悪意にしかならない。
たが…歪んだ世界にそんな好意こそ幸せと感じられる。



歪んで壊れた心の恋にルールはない
…………………………………………………






学校の帰り道。
帝人は杏里と別れてから一人、夕焼けに染まった街の中を歩いていた。

「………はあー」

家路に帰り道、変わりない道。 変わりない光景に帝人はため息をついた。

「暇……なんですか、臨也さん」
「残念、全然暇じゃないんだよね、これが」
「だったら…僕に構わずに仕事してください」
「これも仕事なんだけどね…」

秀麗な顔に似合わない不敵な笑いを浮かべる臨也は黒いコートに身を包んで帝人の前に立っていた。
なびくコートと黒い髪。
帝人にとって見ればうらやましいくらいの容姿と圧倒される存在感。

「仕事?、毎日毎日毎日、この時間に僕に会うことがですか?」
「違う、帝人君はわかってないな、俺にとって俺の仕事は趣味なんだよ、だから…君に会うことは仕事であり趣味なんだ」
「すみません、俺には理解出来ませんよ、臨也さん」
「理解?理解なんてしなくていいよ、帝人君、俺は君に毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日会いたいだけだから、だって君に好意をよせているからね」

優雅に自然にコートをなびかせつ帝人に近寄る、変わらない笑顔。
帝人は一歩下がる。
下がるだけで逃げる気はない逃げても軽く捕まることを身に染みている。
危険な人間と聞いていたがほんとにほんとに怖いくらいに吐き気がくるくらいに帝人の目の前にいる彼は危険な人間だった。
そんな彼から帝人は何故かいいしれない好意をむけられていた。
異常に近い好意。
好意による異常な行為。
学校から家に帰る路地裏で帝人は臨也と毎日毎日毎日というくらいに出会っていた。
同じ時間で同じ服で変わらない笑顔で。
それは怖いくらいの行為だ。
それはストーカーよりもたちが悪い。

「好きだよ、帝人君」

そう言って臨也は帝人の横を通り過ぎて行く。
振り向くことはしない、しても意味がない。
毎日毎日同じことを聞いているから、同じ行動で同じ口調で。

(わかりません…貴方がわかりません)
(わからないのに…僕は)

意味がわらない行為と好意。
狂ってしまうような錯覚に陥り思考が迷子になってしまう。

(吐き気がするのに気持ち悪いのに……)
(嫌いになれない…)

止まっていた足を一歩と動かす、帝人は家に向かう。
だけど足は臨也の方に向かっていた。
これもまた毎日毎日毎日繰り返した行為。

(だって、だって、僕も貴方が好きだから…)

出会った時から好意を持っていた誰よりもなによりも、自然に当たり前のように臨也に惹かれていた。
危険な人間なのに関わっていけない人なのに、非日常に自然と身におく臨也に憧れと自分見てほしい感情が芽生えた。
けれど、それは歪んだ恋心。

「臨也さん」

声をかける帝人、足を止める臨也、振り向きはしない。
同じことの繰り返し。

(帝人君は……予想通りに反応して予想通りに行動してくれる)

薄く笑う。
そして、振り向いた。

(−!!)
「大嫌いです、臨也さん」

まったくの予想外な予測出来ない帝人の行動に臨也は言葉を失った。
不意打ちに唇にキスをされたのだから。
それは今までにないこと。
彼の言葉と裏腹な行動に臨也は立ちすくんでしまった。

「あの …臨也さん、また明日」
そう言って笑顔て帝人は振り向き走って去っていた。
夕焼けが街を染めて行く。
臨也は体を奮わせて笑った。

「くそー舐めていた…」

沸き上がる感情に昂揚した快感を感じた。

(そろそろ、近寄るなとか気持ち悪いと毛嫌いして憎んでくれるとか、かわいいく、うぶに好きと言ってくれると思ったのに)

笑う、満面の笑顔で笑う。

(まさかまさかのあの行動、でも、意外に走りながら今は顔を赤くしていたらかわいいな、ねぇ帝人君)

うれしいくって幸せで臨也は一歩、一歩と歩いいた。
帰り道ではない、行き先は決まっている。
帝人の家。

(好意も行為も君が俺を好きになってもらう為の口実、仕事だとか趣味とか…口実、なにもかもが口実、好きだから愛してるから)

人間しか愛せない自分自身がたった一人の人間を愛した。
でも、それは屈折した愛の形。
歪んで壊れた人間にまともな感情なんてない。

(待ってて…帝人君、これから君を愛しに行くから…ね)




歪んで壊れた世界にルールなんてない。









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ルールがないからこのあと帝人は臨也に美味しく食べられました(笑)



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