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短編
転がり堕ちる火種−2−(静帝臨+杏里+新セル)
豪華なマンションの一室で愛しい愛しいセルティと甘いひと時を味っている岸谷新羅、顔立ちや容姿は美形の類に入るがいかせん、好きな人の前なのか残念なくらいに三枚目に見えてしまう。
当の本人はそんなことすら気にせずに愛しいセルティを見つめていた。

『今日は穏やかでいいな、新羅』
「そうだね、今日は怖いくらいに何事もないから…たまにはこんな平穏な池袋もいいよね」
『ああーそうだな』

笑うセルティ。
これは雰囲気だけの話であり実際は首から上がないのだ、この街=池袋の都市伝説と言われた存在、首無しライダー、セルティ ストュルルソンは慣れた手つきで手に持っているPDAで言葉を打ちむんでいた。

『まあー私はお前いるだけで、つねに平穏だそ』
「うれしいな、誰か言われるより君に言われることがなによりもうれしい…」

最後まで言葉を紡いで抱きしめようとした矢先。

平穏は音を立てて崩れた。


ここに来る人間は大概、決まっている、ただ来る人間の組み合わせによる、だから新羅には予想外な組み合わせにしばらく言葉を失った。

(いや、まあー有り得なくはいか………竜ヶ峰君はあの「臨也の知り合い」なんだから…ね…)

臨也は誰もと繋がりを持つ存在だ。
目の前で怪我した帝人をソファーに降ろす静雄の行動に新羅はびっくりしていた。
何故なら彼、静雄は逆に誰かと繋がりを持つことを嫌がている存在だからだ、無意識のうちに。

(静雄は優しいからね……)

だからこそ、怒りで我を忘れって大切な人を傷つけてしまうことが怖いだろう。
そんなことを考えてながらも新羅は慣れた手つきで帝人の額の傷を治療していた。

「すみません、新羅さん」
「ああーいいよ、別にこんなことは慣れているから、ただ、ちゃんと病院にはいったほうがいいよ」
「…はい」

頭の傷を抑えて帝人は別にたいしたことはないと感じていた、けど、医者の新羅に言われたやっぱり病院に行かないといけないんだなと 。

「竜ヶ峰君…明日病院に行う」
『そうだな、ちゃんと見て貰ったほうがいいぞ、新羅は腕はいいが…頭に関しては』
「ちょっ!セルティ、なにを言ってるんだよ、確かに脳外科じゃないからわかんないけど、外科医としては自慢じゃないけど自信あるよ、なんたって君……おっ 」
『新羅!!』
「あっちょっ………と影が… 首まいっ」

セルティは新羅が言いかけた言葉を得意な影を使い封じた。
多少、お仕置きで首をしめたは秘密にしておく。
帝人はそんな光景を見て笑った。
非日常にあこがれた彼は新羅とセルティのやり取りはたまらなかった。
どこにでもいる少年。
中学生と言われたら信じたと静雄は思いながら彼を見つめていた。

(あのノミ蟲の知り合い…とはどんな子かと思った…が、普通だか普通じゃねえ)

なにが普通なのか知らないが静雄は本能で帝人の何かを感じていた。
それが何かはわからない。
わからない事ならイライラしてしまうのに、不思議としない。
だからよけいに気になった。
帝人は視線に気づいたのか顔を静雄に向けた。

「静雄さん…今日はあの…すみませんでした」
「あっ…いや、別に謝ることねぇよ、ああーなんだあれは俺が…悪いし」
「そっそんなことないですよ!!、

それに…静雄さんは悪くないですよ、悪いのは静雄さんを怒らせる奴らですから…」

静かな静かな冷めた口調。
先程とは違う帝人、たがそれはほんの一瞬こと。
錯覚かと思うくらいの変化だ。
だから、再度確認してもう一度帝人を見ても彼はいつも彼だった。
純真な瞳で静雄を見つめていた。
だから無意識に静雄は帝人の怪我をした額に軽く手をあてた。 なにを確かめるように。

「本当に…ごめんな」

静かな優しい口調で静雄は帝人に謝っていた、だから誰もが言葉を失った。
その光景を見ていた新羅が一番、絶句していたのは言うまでない、幼い時から今までの間であんな口調もあんな言葉も聞いたことがなかったからだ。

(うわあー見なかった事にしたいよおお!!!あんな静雄は有り得ない!!怖い怖い!!てっ言うかセルティ!そろそろ影をはずてよおお)

新羅は影にぐるぐる巻にされて一人床に放置されていた。
セルティは杏里の元にいっていた、彼女の異能的な罪歌を抑えるように。

(はは…おかしいよな今日は平穏な日常だったのに…セルティといちゃいちラブラブしたかったのに……二人きりならこんな放置プレイも嫌いじゃないけど……蚊帳の外な放置プレイは嫌だ……それにそれに見たくない光景が……確信したくないよ、僕が確信してもなんの得にもならないけど、あれは確実に絶対に静雄は

竜ヶ峰帝人に恋してる


でないとあんな表情もあんな言葉も行動も意味がなくなる、静雄は自覚してない様子だけどね 、……いやいや、そんな事なんてどうもいいからセルティ!!!!!影とってよお!!!!)


のたうちまわる新羅を尻目に静雄と帝人の世界は回っていた。

「…僕も…気をつけます、静雄さんに迷惑かけたくないですから」
「別に迷惑なんて思ってねぇよ、だから、な、………その俺に会いたいなら…あー仕事だと危ねぇから…電話してこい」
「えっ」

差し出さたのは静雄の携帯電話、あの平和島静雄からの番号の交換となったから帝人は満面の笑顔で受けった。


帝人にとって静雄は憧れる非日常のカッコイイ人なのだから。
非日常に憧れを抱いた彼に捕まったら。


普通の日常など有り得ない。
だから、呼ばれてない訪問者が来た。





(ねぇ…セルティ、本当に本気でこの影をはずしてほいんだけど………とてつもなく嫌な予感がするんだよね)







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