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短編
転がり堕ちる火種1(静帝臨+杏里)
暴力はきらいだ…。

それは今も昔もこれからくる未来まで永劫に変える気はない。
平和島静雄。
名前とは真逆な人生を彼は日々おくっていた、【怒り】をおさえれない静雄は幾度となく仕事を点々としていたが学校の先輩田中トムに自分の仕事を手伝えと言われたて現在の取り立て屋の仕事に長く居座っていられる。
平穏淡々したありきたりの日常なら【怒り】はそんなにおこらない。
と思いたかったが

取り立て屋の仕事先でのらりくらりと言い逃れする奴らに怒りを抑える意味があるのかと。
無意識で標札を折り相手を投げ飛ばす、そこに意味などない。

ただ……

この時ばかりは怒りをコントロールする事が出来なかった自分自身に恐怖を感じた。

「うわぁ……痛っ!!」
「竜ヶ峰君!」
「!!」

息をついて前を見ればいい知れない寒気を静雄は感じた。
知ってる二人。
どちらもあの首無しライダーの知り合いであり鍋パーティーに呼ばれた時に知り合った。
今までまわりなど気にはしていなかった、むしろ池袋の人間は自分が暴れたら危険だとわかっている。
怪我しないで逃げて遠くで見ているなが普通だ、なのにあの子は純粋な目で自分を見ていた。 静雄は標札を投げ捨てて二人の元に歩みよった。

「痛っ……あっごめん、園原さん」
「いいの、気にしないで…」
「なにやってたんだよ、竜ヶ峰」

園原の言葉を遮るように静雄が言う、顔をあげる帝人だが額を切ったのか視界が血で濡れてよく見えなかった。

「静雄さんを見かけてただ声をかけようとしたら…飛んできたコンクリートにあたって、あっ静雄さんは怪我?」
「あのなー自分の心配をしろ、俺は大丈夫だ、……ほら医者とこに行くぞ」

行くぞとは静雄は言ったが何故か周囲がざわめく。

「ずるい…平和島さん、ずるいです」
「…………静雄さん」
「ん?なんかしたのか?」
「運んで頂けるは大変にうれしいですが……なぜにお姫様抱っこなんですか?!」
「軽いから…いやか?」
「はい」

先程とはまた違う無表情に告げる帝人、渋々、静雄は降ろす。
確かに軽いと言うのは彼にたいしては酷いことに違いないが、しかし、静雄にとって見れば標札や自動販売機より軽い彼を簡単な方法で運ぼとしていただけ。

(あれは、お姫様抱っこか…)

考えもしなかったというよりは今までそんな縁がなかったからだろう。
同時に嫌な過去まで蘇るが背中にいる帝人の熱に何故か苛々が薄れていく。

「園原さん、ごめんね、鞄持って貰って」
「ううん、気にしないで、竜ヶ峰君の鞄くらいしか持てないから」
「……」

園原杏里はこのところ、セルティといるのを見かける、そこになにか意味があるかわわからない。
ただ彼女はセルティと同じ匂いがした。

(だからって俺には関係ねぇけど……今、1番気にかかるのは…竜ヶ峰帝人)

背中に帝人を背負い静雄は闇医者であり学生時代からの腐れ縁に近い男、岸谷新羅のいるマンションに向かった。
病院に行けばいいのだが、いつもの癖で静雄は新羅のマンションに向かってしまう。

その奇妙な光景を池袋の街は見て驚愕していた。

ネットに書き込まれた言葉の波。

−平和島静雄がかわいい子を連れていたぜ

−かわいい子、女か?
−かわいい男の子らしいが?
−静雄はそっち側か!!
−いやいや、いくらなんでも
−でも、見た奴らはその子をお姫様抱っこしていたんだよ!!
−マジか!!
−たしか…画質は悪いが写真とったぜ
−大丈夫か、死ぬぞ、お前は、つうか早くうP

−−−−写真

−期待してそーん、画質ダメダメじゃん
−ほかに画質のいいのないのかよ。

画面を静かに睨むのはいつも新宿にいるはずの折原臨也は池袋のネットカフェの個室にいた。
情報屋としてネットに溢れた情報は必要。
新宿にいなくても臨也は気兼ねなく池袋に来ていた。
静雄にあわなければ大丈夫だ。
大丈夫だと思った矢先に静雄にやられた。

(最悪……よりよってシズちゃんと帝人君の写真なんか……普通するかな、お姫様抱っこなんか…)

画質が悪いと他の奴らは書き込でいるが臨也にはわかっていた、常日頃に見慣れた顔に体に姿。
異常なまでに帝人に固執している臨也ならどんなにぼやけていても彼が誰を確定することなの朝飯まえだ。

(うん…どうしようか、イライラする……)

いろいろな意味で苛々としていた、自分の知らない場所で自分が好きな子が嫌いな人間に捕られてしまう事に。
それは一番大きいが次のイライラが画面に書き込まむ不特定たすの人間。
だから、少しだけど臨也は悪戯して復讐するんだ。
不敵に笑う。

臨也は個室を出で行く。
でも、そこは違う個室だ。
それは臨也の巧みで巧妙な工作。
このあと数時間後に書き込みに使われたサーバーでウィルスが蔓延したのはいうまでもない。 軽い軽いもの。
そして臨也は内心は笑ってない笑顔で池袋の中に消えていった。

愛しい愛しい帝人の元に行くために。









火種は静かについてきた










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