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短編
ありえねぇ、責任取れよ






朝のキスから、俺は真人で頭が占められていた。


体が勝手に動くのなんて襲撃されたときとか、殺されかけたときとか、命の危機のときだけだった。

体がコントロール不能。

こんなのは故障だ。非常に困った事態だ。



「はぁ…」



思わずため息が洩れる。
朝の非常事態のおかげで仕事もやる気が起きない。



真人がいけないのだ。

ふわりと笑ったりするから。


嘆いて泣いてくれるだけなら、こんなに惹きこまれはしなかった。



「−−クソ」



ありえない。


ありえない。



天下の京獄組の組長の俺が、借金のかたに頂いた青年と数日過ごしただけで、まさか、好きに?





「あーーークソッ」







ありえない。



と、思っていたことが起った。



俺は恋はしないはずだったのに。





「弱みを作っちまった・・・」





もうごまかしはきかない。
これ以上誤魔化せばかえって危ない。




腹をくくって、責任を取ってもらおう。



俺は目を閉じた。


奪われたものは仕方ない。返せなどと野暮なことももちろん思わない。


ヤクザならヤクザらしく、心まで手に入れる。



「待っていろよ真人・・」



俺に惚れられたのだから、もう俺のイロになる以外に真人に生きる道はなくなった。


理不尽なのがヤクザ。


もう諦めてもらうしかない。





「真人…」








そして俺が真人から好きだという言葉を受け取ったのはそれから三ヵ月後のことだった。












「−−えええ!!?あんな短い期間に好きになってくれてたんですか!?」



「ああ」


「知らなかった・・・」


「いいだろ、今更」


「でも…」


「いつ好きになったかより重要なのは、今好きかってことだ」


「組長さん…」


「そしてこれからだ。真人、一生かけて責任取れよ」



「はい!よろこんで!」



言った後で台詞逆だったかと思ったが、嬉しそうに微笑む真人がかわいかったのでもういいか、と思った俺だった。













お題は「確かに恋だった」様にお借りしました

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あきゅろす。
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