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短編
まさか照れるわけねぇだろ?




帰ってみて驚いた。



「お帰りなさい、組長さん」



「−−起きてたのか」



布団に正座して見上げてくる青年。
寝ても居らずしかも俺の寝室で待つ姿。腹を壊したのではなかったのか。


真人は静かに頷いた。


「俺の役目は、貴方に仕え、貴方を喜ばす事。腹は治しました。気が乗らないのならば帰ります」


見据えてくる瞳は意志が強い。
組長である俺をこんなに真っ直ぐ見つめてくる奴など限られていたというのに。

俺は真人の隣りに座った。



「−−今日は不調でな。抱く気もおきねえ」


「−−でしたら」


「どうせ来たんだ。いいからここにいろ」


「…」


真人は気まずそうに居住まいを正した。
俺が脱いだ背広をハンガーにかける。


俺は煙草を取り出し、くわえた。
火をつければ吸いなれた煙が口内に満ちる。



「組長さん、今日は…」


「ああ、匂うか」


「いえ、その」




女の香水が移ったらしい。
舌打ちして髪を乱すと真人が息を呑んだ。
驚いたような視線に目をやるとやけに熱心に俺を見ている。



「−−なんだ」



「あ、いや、なんか、髪乱した瞬間がすっごい男らしい色気に溢れてて・・・カッコいいですね」



「−−」





おいおいおい待て待て待て。

んな台詞どれだけかけられてきたと思ってんだ俺。



まさか


まさか



んなたったひとことで






「もう、寝ろ」



「あ、はい」



まさか





照れた、わけがない。













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あきゅろす。
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