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短編
先生!愛しちゃいました!!

※短文です。ノリで書きました。生徒×先生


入学式から一週間。大宮武(たける)は担任として受け持った二つ目のクラスへ向かっていた。以前受け持っていた高校二年生を三年に送り出し、今年は一年を受け持たされた。
まだ新米に近い、20代のうちから経験を積まされるのだ。
しかしこの高校はまだ若い教師が多い方で大宮も肩身が狭い思いはしていなかった。しかも自由な校風で、教師として眉を潜められるような大宮が堂々と担任が出来る。

そんなことを考えながら大宮はくわえていた煙草から煙を吐き出した。歩き煙草なんて咎められるからきちんと窓際で吸っている。−−教室の前の廊下だが。

受け持つ教科は数学。比較的暇な教科だ。それはひとえに大宮が数学のスペシャリストだからなのだが、本人は気にしていなかった。

「さて、ホームルームか」

低く言った大宮を生徒達が遠巻きに見ているとは気づいている。
だが大宮は生徒に全く興味が無かった。この高校の教師も、頼まれてやっているだけだ。この学年を送ったらさっさと大学に戻りたい。

予鈴が鳴った。大宮は煙草を消し、教室の扉を開いた。

「オラ、さっさ座れー」

「あ、大宮先生」

「いいから座れ」

一番後ろから声をかけてきたのは、志垣潤である。この一週間、まともに話しかけてきた唯一の生徒だ。
喋ればチョークが飛び、眠れば教科書が唸りをあげる大宮の授業を楽しみにしている稀有な存在でもある。

だが大宮にとって志垣はうざったいものでしかなかった。

適当に流し、教卓につく。

「俺からの連絡は以上。テメーらから何かあるか?ねえな?」

「はい」

「あぁ?あんのかよ、チッ」

大宮は悪態をついたが大人しく引き下がった。手をあげた志垣をクラス中で注目する。
志垣は誰もが振り返るような綺麗な顔で微笑みながら立ち上がった。
大宮は興味を失ったように端へ退き、眼鏡を押し上げる。男子校であるため視界はむさくて仕方ない。

「あ、大宮先生、先生もですよ」

「アァ?俺は何の顧問もしてねぇ」

「違いますよ」

志垣は大宮の手をとった。
弓道のエースとして注目されているため握力は強く、大宮は振り払えない。眦を吊り上げるしかなかった。

「大宮先生!!」

「何だよ」

「愛しちゃいました。俺のモノになってくれませんか!?」

「…は?」

今、コイツは何と?

クラス中が静まり返る。誰かが口笛を吹いた。
そして、やんややんやと喝采が。

は?

大宮はゆっくりとその意味を理解した。

志垣は照れたように笑っている。ああ綺麗な顔だ。
ホモなのか?コイツは。

愛してるだって?誰を?俺か。

そうか。


そして大宮はゆっくりと腕を上げ、


「大宮先生?」



キョトンと見つめてくる志垣の顔に裏拳をキメた。






先生!愛しちゃいました!!



(とりあえず一発殴っときゃ、目覚めんだろ)


End

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