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唇が離れていき、飲み込めなかった唾液が端から垂れた。

「ん…あ、はぁ…」
「…っ、なんか、やらしい」
「うるさ…っ、あっ…!」

悪態をつく間もなく、また動き始める。
もう余裕がないとでもいうように、激しく突き上げられる。

「あっ!やッあぁ…っ!ん、や、だ…ッぁあッ!ぁああ…っ!」
「やだ、じゃ…っないでしょ…?」

無茶苦茶に擦り上げられ、今までの行為で知られた悦い所を何度も突かれる。
あがる嬌声を抑えようと口元を押さえるが、動く度に其の枷は簡単に外れてしまった。
行き場をなくした腕を、無我夢中で呉真の背中に回す。

「んぁ、っあ!あ…っ!あ、も…っ出…っぁあッ…!」
「…っ、楓…!っは…」

えぐられるように深く突かれ、高められた欲望は容易く腹にぶちまけられた。
白濁を吐き出す暇もなく、奴は急いたように動き続ける。制止の声すら聞き届けてもらえない。

「やッ!あ、っねがい…ッ動かな、っあ、んぁあッぁ…!」

果てたばかりの身体では、敏感になりすぎる。とにかく逃げたいような快感に襲われる。
必死にしがみついて、背中に爪を立てた。

「ぁ、く…っ」
「…っや…!?」

突然引き抜かれたかと思うと、顔にかけられる。
とりあえず、その時は呆然とするしかなかった。
 





空はもう、明け方が近い色をしている。

「幾ら何でも、酷すぎ…」
「はあ、すいません」

がしがしと洗った顔を拭きながらぼやく。
しかし向こうは別に悪びれた様子は無かった。
とにかく痛いしだるいしで、今日の仕事が思いやられるところだ。
外が明るくなると、此の場所の所在が分かった。恐らく彼の家なのだろう。割りと知っている場所で、人通りが余り無いのは確かだが、あんな声を上げていたかと思うと顔が赤らむ。
しかしそうやっていつまでもだらだらと此処にいるわけにもいかない。

「じゃあ――呉真」
「…はい?」
「お前も遅れるなよ、悩み事があるなら聞くから」
「…………」

ぽんぽんと呉真の頭を叩いてから背を向け、一度部屋に戻るか、とか考えながら家を出た。

(…全然、みじんも伝わって無い…!)

呉真は脱力しながら、思った。
此の人は、天然というより鈍感だ。無意味に、精神疲労だからってこんなことするわけないだろ。



しかしそんな文句は、もう背中が遠くなりつつある劉楓には届かなかった。


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