1 元から、あまり風呂は好きじゃない。入ると疲れるし面倒だ。しかし入らなかった日は無い。日本人ならそれが当たり前だということは、取り立てて説明する必要も無いだろう。 いつも倦怠感を感じるのは脱衣する迄で、一度風呂という空間に入ればあとは簡単なものだ。てきぱきと同じことを繰り返しいつの間にか風呂場を出ている、それが日常だった。 (……面倒、というか、) 先刻和田木に連れられて、あの忌ま忌ましい地から帰って来た。 余りにも疲れて玄関口でうとうとしていたのだが、汚いままでは寝るのも嫌でしょうと風呂に押し込められた。まあそれはそうだ。 いつものように髪を洗って身体を洗う。節々が痛いのは差し引いておくと、そこまでは普通だ。 しかし、脳裏に浮かぶのは嫌な記憶。通常は排泄器官として使われている場所に何やらかんやら出されたわけで、当然綺麗にしておきたい。のだが。 「……どうしたものか…」 シャワー片手に、悩みまくること10分。空気入れ替えの為に開け放った窓からは風が冷たく入り込んでいた。正直、寒い。 どうしたらうまく行くだろうか、などと考えているうちにすっかり身体も冷えた。 と、そこへ前触れもなく和田木がガラリと風呂場の戸を開ける。 「まさか、寝てませんよね?風邪引きますよー」 「うわぁぁぁぁ!ちょ、いきなり開けるなよっ!」 「え、あ、すみません」 和田木はアレだ天然だ。きっと癒しのオーラが出てんだな、癒し系筋肉質だ。 って、そんなことより。 「――っていうわけなんだけど…やっぱりまた腹下すかな…」 「いや、ちゃんとやれば大丈夫じゃないですかね。俺がやりましょうか」 「は!?いやいやいいよ、僕自分で出来…っ」 「そんなこといって、風邪引いたらどうすんです」 そりゃもっともだ。 でも僕は散々やらかしたにも関わらず、まだ羞恥心というものを持ち合わせていたらしい。 逃げようとする僕の腕を掴み、和田木は僕を無理矢理押し付けた。 「やだ、やだってば!和田木、怒るよ!」 「後でいくらでも怒って下さい」 「…!や、あ…っ」 押さえ付けられた状態で、シャワーを後孔にあてられる。ぬるま湯が中に流れ込んできた。 「あ、ぅ…っきもちわる…っ」 「我慢、して下さい」 普通は我慢出来ない。これは普通の状態じゃないんだ。 力の強さに身動きすら取れずに震えていると、和田木はすぐにシャワーを離す。そのまま僕を抱えるようにすると、 「ほら、出して。力入れて下さい」 「…っ……!」 絶対、嫌に決まってる! 「も、いい。自分でするから…っ和田木は外にいて!」 「駄目ですよ、ちゃんと出来ないって言ったじゃないですか。俺なら気にしなくていい」 「き、気にしないわけにはいかないだろ!」 わめいてる僕を後目に、和田木は後孔に指を這わす。 嫌な予感がしてどうにかやめさせようともがいたが、まるで歯が立たない。 太くがっしりした指が、固く窄んだ箇所を左右に拡げた。 漏らすまいと我慢していたのに、もう抑えが効かない。 「あ――ッい、ひぁ…っぁ、出…ちゃっ…!ぁあ!」 ばちゃばちゃ、と秘部から水が落ちる。水だけじゃなくて、中に入ったままだったものも。 和田木は適当に洗いながすと、またシャワーを近付けた。 「や、やだっ、てば」 「綺麗にするんでしょう。ね、おとなしくして下さい」 「う………」 優しく言われると、あやされてるみたいで不服だけど。 暫く静かに目を伏せて抵抗したが、腰を引っ張られるとおとなしく従うことにした。 [*前へ] |