[携帯モード] [URL送信]

 
僕は、心中では泣き喚きそうになりながら、意を決して腰を下ろしていく。
男に背を向けた状態で、どんな表情をしているかは分からないが、男は満足そうに笑った。
うまく入り易いように、男の指が後孔を拡げる。

「ン、ひ…あ!痛ぁ…!」
「…我慢して。あ、腰引いちゃ駄目だよ。もっと、力入れて」
「だって、痛い…!裂けちゃ…!」
「その方が、動きやすくていいかもねえ」

男の言葉にぞっとして、さらに不安が掻き立てられる。
しかしいまさら、他の打開策などないのだ。自分の身体とヴァイオリン、どちらも自分にとって大事だ。しかし、楽器は壊されたら元に戻らない。自分の身体もどうなるかは分からないが、今はどうしようもなくヴァイオリンが大切に思えた。

「あ、誰か来たよ」
「……ッ!?」

普段使われた形跡のないトイレだが、まったく使われないことはないだろう。個室や男性用トイレは他にもあるわけで、誰か入って来てもおかしくはなかった。
足音が聞こえた。誰かが男性用トイレを使用しているのだろう。

「……ふふ」
「…!っ…!」

男は微かに笑うと、下から突き上げた。声が漏れそうになって、口を押さえる。

男が耳元で呟いた。

「敦人君に全部入っちゃったね。動くよ」
「……ッ!!」

言葉通り、まだ誰かいるにも関わらず、男が下で動く。
揺さぶられる形になって、僕は必死に口元を押さえたままだ。
痛みがまだ大分あるものの、男が性器を擦り上げて来て、少しずつ甘ったるい感覚がわいてきた。

「ん、…っひ、…!」
「どうしたの、黙って無いと聞こえちゃうよ」
「…は…んん…っ」

また、男が囁く。
誰の所為だと思ってるんだ。
トイレに入って来た人は異変に気付いたか分からないが、再度聞こえた足音が遠くなった。トイレから出たらしい。

「ッあ…はぁ…、ん…」
「こんなにビクビクして、可愛いね。――ああ、ココがきもちいんだっけ?」
「え、や!ひゃ、あっ!」

ぐり、と前立腺を突く。
男の膝に座っているせいで浮いた両足が、反射的にびくびくと反応を見せた。

「敦人君、こっち向こうか」

突然、身体が180度回転する。
男と向き合う形になって、思わず視線を下げた。
構わず、男は僕の両足を持ち上げて律動を再開する。結合部分が丸見えになって、恥ずかしい。

「んッ、ひあ、やッ!見ないで…っ!」
「ああ…、敦人君に、出たり入ったりしてる。…っ、淫乱なお口が美味しそうに、してる、よ」
「やだ、…っんな、してなぃ…っあッ!あ、あッ!」

男の動きがだんだん激しくなる。
もう僕のことを構っている余裕は無いのだろう、労ることもせず豪快に突き上げた。
身体が悲鳴を上げている。無理な体勢もそうだが、無茶苦茶にされて感じている神経も。
気持ち良い、んだ。拒否する心とは裏腹に。
 


[*前へ][次へ#]

第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!