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「アレだよな、やっぱ」
「アレって、何が?」
きょとんとした顔で、洗ってきた頭を拭きながら翼は言う。
その間も相変わらず部屋の器具達に興味津津だった和博は翼に向き直った。
「俺達が組んだら、二人の所有物になるよな?これとかすげえ、毎日見てたい」
「ええ…何言ってんの…」
「…あからさまに嫌そうな顔すんなよ」
「だって、和博は大事に使ってくれないじゃん!」
飽くまでも、観点はそこらしい。
和博は言葉に詰まったものの、「じゃあ大事にする」と加えた。
投げやりな言い方に翼が納得する筈もなく、不機嫌そうな顔で歩み寄ると片頬を引っ張った。
「じゃあ、条件付きね」
「…なんだよ?」
喋り難そうな和博の頬を離すと、手元にあった枕を投げた。和博はそれをキャッチする。
「今日から一緒に寝て」
「……それだけ?」
「だけって…嫌なんじゃないの?」
「なんで?」
翼は怪訝そうな顔になる。
「だって、ノンケなんでしょ?」
「あー……別に、そんなに気にしねーよ。正直お前可愛いと思うし」
「ぶっ…何なのソレ。きもちわるー」
「お前にだけは言われたくないな」
確かにそうかもね、とか翼は溢す。ばふ、と寝台に倒れ込むと、咳をしながら風邪薬の封を切った。
「…声、かれてるな」
「んん……もー、和博の所為だよ…明日の仕事に響いたらどーすんの」
「仕事?」
「メイド喫…」
「お前ちょっと顔洗って来い」
「さっき洗ったんだけど」
やはり掴み所のない人間のようで、和博は苦笑しながら電気を消した。
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